もう別れたいけれど今までのことを考えるとなかなか別れられない。
情があるから別れられないという人は多くいらっしゃいます。
ただそれは情だけで別れないのではありません。
浮気が発覚しても別れを選択しない方というのは多くいらっしゃいます。
一緒に過ごしてきた時間、それに費やしたお金…。それらのことを考えると一度の浮気で離婚は選択しないのでしょう。
長年付き合ってきた時間が一度の浮気で関係を壊すのはもったいない。
浮気をしたら絶対に別れると思っていても、「今回で反省して改心してくれるのでは?」という感情が働きます。
結果的に「今回に限り…」という形で離婚には至りません。
人間はどうしてもこのように考えてしまう生き物です。このような考えが生まれるものを「コンコルド効果」と呼びます。
このコンコルドとはイギリスとフランスが共同開発した旅客機「コンコルド」に由来します。
同旅客機は商業的失敗をしたわけですが、継続することで損失につながるとわかっているのにもかかわらず、それまでの投資を惜しみやめられない状態のことを指すようです。
パチンコやパチスロなどのギャンブルはまさにこの心理をついています。
「ここまで続けたんだからもう少しであたりが出るだろう」
このような気持ちが生まれてズルズルと賭けてしまうのです。
「ここまで来たんだからどうせなら」
このような気持ちが生まれるのでしょう。
基本的にこのような心理状態の場合、プラスに転じることは稀です。
基本的にマイナスとなり「あの時やめておけば」というたられば話になってしまうでしょう。
そもそも継続する具体的なメリットはなく、ただ単に過去の投資を正当化するためだけの理由だからです。
例えばお金を払って映画を見るも途中で飽きてしまった。しかし「せっかくお金を払ったんだから」という理由で最後まで見てしまう人は多いでしょう。
最後まで見ても結局つまらなかっただけで時間的損失を受けるだけです。
途中でやめておけば払わなければ良かったで終わるものを「見なければよかった」というマイナスが増えるのです。
なかにはその感情を押し殺し、「良かった」と自己暗示する人もいるかもしれません。
早めに見るのをやめていれば金銭的な損失だけで済んだものをそのように割り切れないのが人間なのです。
しかしその映画がタダであれば見ないでしょう。例えばテレビで見ていた場合はチャンネルを変えるでしょう。
ただレンタルビデオを借りていた場合最後まで見なければ「もとが取れない」と思ってしまうのです。
このようにものごとをプラスかマイナスかで考えるのが人間です。
これは恋愛においても同じような感情が働きます。
長年付き合いマンネリ化した関係。
お互い感情もなくなっているが「今迄のことを考えると別れるのがもったいないから」という気持ちが働き、別れを選択できなくなってしまうのです。
刺激もなく、関係を深めるわけもなく定期的に会って食事をする。決まったように誕生日は祝うという何とも不思議な光景です。
お互いが別れる意思がないため、一見恋人として成り立っているように見えますが、実際のところは破たんしており、考えが変われば別れることになります。
冒頭でお話しした離婚ができない人も同じ考えです。
夫婦を続けるメリットが無いというのは薄々気づいていても、結婚式に使ったお金やそれまでの期間を考えてしまうと離婚が選択できない気持ちになってしまうのでしょう。
情の部分もあるのだと思いますが、ほとんどの方がこのような理由で離婚をしないのです。
離婚をすると…
1.経済的な負担が大きくなる。
2.老後が心配。
3.子供のことを考えると…。
4.戸籍に傷がつくのはちょっと…。
こんな理由を並べることがあるでしょう。
これらは後から考えた離婚をしない理由であり、本当の理由は過去の投資の損失を回収したいという感情が働いているからなのです。
こうなってしまうと当事者は損失を補てんしようと婚姻関係を続けていくでしょう。
しかし誰かが上手く導けば離婚を選択する可能性は充分あるのです。
人は自分で判断しようとすると負担の少ない形を選択します。
離婚をすることで受ける損失と利益、継続することで受ける損失と利益。
これから答えを出すわけですが、離婚による利益というのは未確定です。
継続する利益というのは確定しています。損失はどちらも確定しています。
このように確定している部分とそうでない部分があるのです。これを考えると継続したほうが損をしないように感じるです。
ことなかれ主義的な考えをする日本人はわざわざリスクがある方を選ばないのでしょう。
これをうまく導いていくことができれば別れさせることができるのです。
結婚を続けるのは損である。離婚をすることが得である。離婚をすることはデメリットではない。
相手がこれを理解さえすれば離婚はスムーズにできるのでしょう。
問題はそれをどのように理解させるかです。恋愛というのは合理的に考えることができません。そのためトラブルに発展してしまうのです。お互いの感情がぶつかり合い、解決の糸口もみつけられないまま泥沼化していくわけです。当事者同士でこれを解決するというのは難しいのでしょう。そうなると第三者の協力が必要になるわけです。
友人や知人に頼む、調停を起こす、または恋愛トラブルを解決してくれる業者に頼む。方法はいろいろあると思います。どの方法を取るにしても一人で悩むよりも建設的な話ができると思います。そのため二人だけで話すのではなく第三者を交えて話した方がよいでしょう。